この記事は「ハウスワイフ2.0」の感想でを読んで知人に送ったメールを転載したものです。(プライベートな内容は一部伏字にしています。)
詳しい経緯は「ハウスワイフ2.0の感想を書いたきっかけ」に書きました。
もくじ
結論
「ハウスワイフ2.0」はTさんの問い(子育てしつつ正社員で働き続けるのは大変。男性社会への迎合ではないか?)にも、私の問い(正社員をやめて専業主婦になるのは後ろめたいことなのか?)にも、答えてくれる本ではありませんでした。
それぞれ、悩み続けるしか仕方ないのではないでしょうか。
「ハウスワイフ2.0」の概要
専業主婦回帰が増えていると感じた著者が、ブロガーを中心とする多数の女性に取材。
会社からの選択的離脱、ブログでの発信、オーガニック、自給自足などをキーワードに、専業主婦生活を楽しむ女性を取り上げています。
最終章では、「ハウスワイフ2.0の四条件」として以下の4点を挙げています。
1 夫にも手作り家事に参加してもらう
2 経済的自立を大切にする
3 ほどほど恵まれている中流階級だと自覚する
4 社会全体の利益を考える
感想
*******感想のもくじ************
1 文芸春秋社の売り方が変
2 著者の論理破綻・調査不足
3 共感した点
4 日本の状況にハウスワイフ2.0は適用できるか
5 私の場合
******************************
1 文芸春秋社の売り方が変
「ハウスワイフ2.0」の売り方は変です。
文芸春秋の編集者が考えて、センセーショナルで売りやすいように加工したのでしょう。
私がおかしいと感じたのは以下の点です。
(1)著者自身は専業主婦ではない
日本語版帯には、「ハーバード卒⇒新しい主婦」と書いてありますが嘘です。
この人は、ハーバード卒後、ノースカロライナ大学に事務職として勤め、現在はフリーライターをしています。(フードライター、旅行ガイドブックライターだそうです。)
エミリー・マッチャーWebサイト
http://emilymatchar.com/
英語版も買いましたが、「ライター」と書いています。
ここをはっきり書かないと、この本の立ち位置が読者に分からなくなると思うのですが・・・?
(2)著者自身は既婚・出産経験なし
出産・子育て経験がなく、Tさんが直面していてような問題に直面したことがありません。
そのため、結論「ハウスワイフ2.0の条件」が理想論で終わっています(詳しくは後述)。
(3)著者の経歴(新卒時の勤務先)
編集部は、奥付の著者略歴欄では「不況で就職が厳しく、卒業後は地元へ戻りノースカロライナ大学の疫学研究室で事務職に従事するが、やがて離職」と書いています。
2004年のアメリカって、そんなに就職不況でしたかね?
「ニューエコノミー」とか言って、うかれていた気がするのですが。
そんな中で希望の職につけなかった著者は、能力/野心が足りなかっただけではないでしょうか。
(というか、まっとうなハーバード卒なら、修士課程に進むのではないかという疑問が。)
(4)著者の経歴(この人は「ハウスワイフ2.0」じゃない)
著者自身は最終章で、「私は主婦ブロガーのような生活は目指さない。仕事をしてジャンクフードを食べて暮らす」という趣旨の発言をしています。(260ページ)
「わたしにとって仕事は生きがいで、もちろんお金だって稼ぎたい。欲張りなのではなく、現実的なだけだ。」(262ページより引用)とのこと。
それで、環境に配慮して、適度に手作り家事を取り入れつつ、経済的に自立しているのが「ハウスワイフ2.0」なんだってさ。(専業主婦か否かは問わないということだと思います。)
つまり、この人は「ハウスワイフ2.0」を目指しているだけなのですね。
にもかかわらず、文芸春秋編集部が奥付の著者略歴欄で「ノースカロライナの田舎で夫とともに手作りライフを楽しむ『ハウスワイフ2.0』である。」と書いています。これはちょっとひどいのでは。
(5)巻末の編集部解説もひどい
巻末の編集部解説で、「ハウスワイフ2.0減少は日米で同時多発的に進行しつつあり、時代の最先端を行く。」とあります。(292ページ)
結局このことは証明されていないのに、文芸春秋社の編集部は断言してしまっています。
このように解説して補わなければいけないぐらい、「ハウスワイフ2.0」の結論があいまいだからだと思います。
2 著者の論理破綻・調査不足
読み進めるうちに、著者の調査不足や、論理破綻、ただの理想論に終わっている点が目につくようになりました。
ブログで稼ぎ、子育てとの両立に悩んでいる主婦としては、物足りなく思います。
具体的には以下のような点です。
(1)専業主婦増加を示すデータなし
「専業主婦になる高学歴女性が増えている」という統計は一切示されていません。
すべて著者の印象によるもので、次々と「ハウスワイフ2.0」に該当しそうな女性(主にブロガー)に取材しているだけです。
まずは統計出してこないと話にならないでしょう。
(2)主婦回帰を取り上げるのか、米国の雇用環境を批判するのか分からない
最後まで読んでも、この本の論旨は「主婦回帰は新しい価値観の創造だ」なのか、「アメリカの雇用環境はひどい(有給休暇・育休がない)ので、子育てしつつ会社勤めするのはムリだ」なのか、分かりませんでした。そのため、切れ味の悪い議論になっています。
たとえ育児環境が整っている職場でも離脱して主婦業に専念するって話が出てこないとおかしいのですが、取材を進めても、そのような人に出会えなかったのでしょう。(281ページあたりでそのように語っています。)
そしてまた、著者は大企業所属経験がないし、育児と仕事の両立に悩んだ人物ではないという点には注意が必要です。
(3)最終章「ハウスワイフ2.0の四条件」は著者の理想論
冒頭で挙げた「ハウスワイフ2.0の四条件」ですが、この内容自体の是非はさておき、「ハウスワイフ2.0」内に、この内容に当てはまる人物はほとんど(一人も?)登場しません。
「ハウスワイフ2.0」の中でも、手作り家事にのめりこむのは「真にやりがいのある仕事を見つけられず、仕事と家庭の両立は無理だとあきらめた人たちだ。」と書かれています。
「社会の頂点にいる人たちは、男だろうと女だろうと、たいていのことは思いどおりになる。最高の教育を受けて、すばらしい仕事に就ける。(中略)超難関医大を出た外科医は、趣味で編み物をしたとしても、仕事を辞めて生活を切り詰めてまで、ネットで手作りの品の店を開こうとは思わない。」とも。(280ページより引用)
要するに、「高学歴女性がキャリアを捨てて専業主婦になった」ではなくて、「満足な職につけなかった(高学歴)女性が、専業主婦になり、節約のために手作り家事をしている」という図式が主婦回帰現象の実態なのだと思います。
(余談ですが、私、XXXX年からXXXX年までルームシェアをしていて、貧乏な女性同士で暮らしていました。そうすると、皆、何でも手作りするのですが、転職して高給になったり、結婚が決まって経済的な不安が消えたりした子は、手作りをやめちゃうんですよね。ハウスワイフ2.0を気取っている人たちも、好景気になったら、同じようになると思います。)
だからこそ、主婦の取材を重ねて、どう締めるか困った著者が、最終章で「ハウスワイフ2.0の条件」を提示しているわけです。
つまりこれは、実在する「ハウスワイフ2.0」のモデルではなく、「著者が夢見るハウスワイフ2.0の完成形はこれ!皆でこれを目指しましょう!」っていうことなんですね。
それは実現できたら良いかもしれないけれど、現実には難しいから皆悩んでいるのに・・・としか思えませんでした。
(4)「素敵な主婦ブロガー」の正体はモルモン教徒
著者は、ネット上で素敵な家庭生活を紹介する主婦のブログを発見し、それに憧れたことが本書をまとめるきっかけになった様子です。
しかし、取材を進める中で、それらのブログ主の多くは、「ハウスワイフ2.0」でクローズアップされている、高学歴で選択的に離職し、自然な生活をする・・・という主婦ではないということが明らかになっています。
実は彼女たちはモルモン教徒(多産で家族主義)で、教会からの指導で、布教の一環としてブログをつけているのです。
著者は、モルモン教徒のブロガー主婦の以下のような発言を引いていますが、ちょっとこじつけすぎな気がしました。
「いままでは、外で働く能力がないから専業主婦になるしかないと、女性自身が感じてる場合もあったけど、これからは胸を張っていられる。家事をしっかりこなして、家庭を守るのは、女性のりっぱな役目だと堂々と言える時代になったのよ。」 (「ハウスワイフ2.0」252ページより引用)
ブロガーの多くがモルモン教徒だとするならば、「ハウスワイフ2.0」の論旨は破綻しています。
(5)稼ぐ主婦ブロガーへの取材不足
モルモン教徒ではなく、稼いでいる主婦ブロガーも登場します。
引用されている代表的な主婦ブログはこちら。(107ページ)
http://www.girlsgonechild.net/
http://thepioneerwoman.com/
http://www.soulemama.com/soulemama/page/2/
しかし、これらの主婦が年間どれぐらい稼ぎ、どれぐらいの時間をブログ更新に費やしているか、著者は取材していません。
私がざっと見たところ、これだけの品質の記事をこれだけの頻度で更新するのには、かなりの時間が必要だと思います。
例えば、http://www.soulemama.com/soulemama/は、2-3日に1回更新していますが、これだけの写真を撮り、ブログ記事を書いてアップし、読者の管理、広告の管理をするとなると、1日3-7時間はかかると思います。(私のブログもそれぐらいかかります。)
そうすると、家事・育児の間に片手間ではできないと思うのですが・・・。
そして、それで得ている広告収入がいくらなのかは書いていません。
(確かに、これはブログ運営者にとって極秘事項なので、答えてもらえなかったのでしょう。)
でもそのあたりに突っ込みを入れずに「ハウスワイフ2.0の条件:経済的自立を大切にする」なんて言われても、机上の空論だよなあ、と思ってしまうのです。
(6)「ブログで稼ぐ」「編んで稼ぐ」はウソ
「ブログで稼ぐ」をクローズアップしていますが、同時にこんなことが書かれています。
「全体を見渡せば、ブログから収入を得ているブロガーはわずか20パーセントにもならない。収入といっても、平均すれば年収1万ドル以下。(中略)生活するにはぜんぜん足りない。」(112ページ)
また、第4章「編んで稼ぐ」では、手作り小物を個人が出品し、販売できるサイトとしてエッツィー(https://www.etsy.com/)の成長が紹介されていますが、これもバブルの可能性があると指摘されています。(155ページ)
本気で稼ごうという人と、材料費+αの儲けでよいという人が混在していて、結果として価格が引き下げられてしまっているからだということです。
(7)成功した主婦は結局外に出ている
ブログで成功した主婦の成功パターンとして、「人気ブロガーで、ピザ屋を開店した女性」というのが出てきます。(100ページ)
でも、そこまで行ってしまうともはや経営者で、「専業主婦のゆったりした暮らし」とは無縁になるはず。
「稼ぐブロガー主婦」と同様、矛盾を感じます。
(8)ヒッピー現象との類似性
60年代に流行した、ヒッピー現象で自然回帰した人たちとの類似性がたびたび指摘されます。
こうした、近代文明への懐疑みたいなものは、波はあるものの、常に一定数の支持者がいると思うので、現在の主婦回帰が新しいのかどうか、私は疑問に思います。
著者は、その点を分析しないまま終わっています。
(9)夫の経済力に依存することの是非
「専業主婦になって、夫の経済力に依存してよいのか」というのは、重大な問いだと思うのですが、そこはスルーして、「ハウスワイフ2.0の四条件:経済的自立を大切にする」みたいな理想論で終わっています。
第8章に、ロースクール卒⇒ヒッピー⇒離婚して仕事復帰という女性が登場します。やっぱり手堅い仕事に戻ってくるんだよね。離婚したら当然経済力が必要になるにもかかわらず、離職してよいのかという点については、著者は掘り下げていません。(274ページ)
また、経済力がついた主婦は、手作り家事を放棄するということも書かれています。
(10)オーガニック・アタッチメント育児法
主婦回帰と同時に、オーガニック重視、アタッチメント育児法(スピリチュアル系と親和性あり)、予防接種拒否、学校教育拒否(ホームスクーリング)などに傾倒する様子が取り上げられています。
これは・・・私は「ああ、また出たか」って感じでした。
そのような育児をされた子どもは親に感謝するのか?という問題提起もされています。
(たぶん感謝しない。私自身の経験からそう思います。)
また、主婦ブログとオーガニックは親和性が高いと思うのですが、なぜなのか私は分かります。
オーガニック系食品・化粧品etc.は知名度が低いので、ネット通販が主な販路です。そのため、アフィリエイト(成果報酬型のネット広告)をよく出すんですよね。
報酬も高額である場合が多いので、主婦アフィリエイターがブログでよく取り上げる図式です。日米ともそれは変わらない気がします。
3 共感した点
気に入らない点ばかり書いていますが、共感できる点もありました。
(1)ブログのコミュニティ化
ブログを書くことでコミニュニティが形成され、専業主婦の不安が軽減するということが書かれています。(99ページ)
これは私にも実感があります。何かを書いて、「私もそう思っていました」とコメントやメールをもらえると、ほっとします。
また、私のブログは、読者の年代が幅広く、母親世代の女性から人生のアドバイスみたいなものをいただけるので、精神的に助けられています。
(2)起業家意識
「大半の人気ブロガーは、自分のことを(中略)在宅の起業家だと思っている。」(111ページ)とあります。
これもまったく同じです。私も、自分はSOHOであると認識しています。
(ブログプロフィールには「専業主婦」って書いてるので嘘つきです(笑))
(3)「主婦業にはやりがいがある」と発信
主婦業は面白い、やりがいがあるという意見を発信することには共鳴します。
夫以外の誰かにも見てもらわないと、やる気が出ません。
(4)ブログは演出されたもの
ブログは、素敵な生活を演出したもので、都合の悪い事実は書かないということが指摘されています。(115ページ、123ページ)
これは私にも思い当たる点はあります。
夫婦ゲンカや、ブログと育児が両立できない悩みなんかは、絶対にブログには書きません。
ただ、私の場合、モノを売るためにまったくのウソを書くのはやめようと決めているので、ブログと実生活の乖離に悩んだというような経験はありません。
だから、演出の程度は人それぞれだろうなあと思います。
(5)「女性の活用」みたいなのよりはマシか
この本はいろいろ気に入らないわけですが、最近政府が推進している、「女性の力を活用しよう」みたいなのよりは、主婦回帰のほうが私にはシンパシーが感じられます。どっちもどっちという気がするものの・・・。
4 日本の状況にハウスワイフ2.0は適用できるか
(1)従来から高学歴女性の専業主婦化傾向
日本では、ずいぶん以前から、高学歴女性は専業主婦化する傾向があると言われていたと思います。
(夫の経済力が高い、夫が転勤ありの職につく場合が多いため。)
そのため、日本でこれを「新しい」と言うのはちょっと違うだろうと感じます。
(2)若い女性の専業主婦志向
数年前から「若い女性は専業主婦を希望している(が、男女とも低所得のため共働きせざるをえない)」という統計が何度か出ていたと思います。
日本でなら、専業主婦回帰のデータが取れそうです。
(3)ホームスクーリング
「ハウスワイフ2.0」では、自宅で子どもを教育する「ホームスクーリング」がよく取り上げられていますが、日本にはそこまでの教育不信はなく、様子がずいぶん違うように感じます。
5 私の場合
(1)私の専業主婦イメージ
私の場合も、Tさんと同様に、「専業主婦なんてダメだ、職に就かなければいけない」と思っていました。ただ、動機は少し違っていて、専業主婦だった母親と折り合いが悪く、私は父親に共感することが多かったためです。
また、父方の祖母がスーパー主婦っぽい人で、主婦ってなんだか大変な仕事で、面倒くさそうだし、母親みたいな専業主婦は尊敬できないしと思っていて、結婚せずにきちんと仕事をする人生がいいと思っていました。
(2)専業主婦になった理由
それでも専業主婦になったのは単なるなりゆきで、夫が希望したからです。(すごく保守的な人で、「女性は家を守るべき」と本気で思っています。腹が立つのですが、面白いので天然記念物として保護しています^ ^;)
私は、結婚の話が出るずいぶん前から、趣味に打ち込む時間が欲しいと思っており、一生の仕事にならない仕事をだらだら続けるよりは、向こう数年は自分のために時間を使うほうがいいと思い、専業主婦になりました。
結婚した2011年から今に至るまで、家事はままごと感覚で、自分が専業主婦だという実感があまりありません。
(3)私の経歴
経歴がないとなんだか分かりにくいので、書いておきます。
20XX 大学卒業⇒○○株式会社入社(XX部・勤務地XX)
20XX XXに転勤
2009 ○○株式会社退職⇒△△勤務
2011 △△退職⇒派遣・翻訳・編集プロダクション
2012 妊娠⇒在宅業務に専念
○○は、会社の業績悪化で雰囲気が悪くなったことと、XXが理由で退職しました。
△△は、非正規(フルタイムのパート、主に庶務)で時給1200円でした。
会社勤めより手取が減るので、家庭教師や翻訳もやっていました。
2011年に△△を退職してからは、翻訳のほか、編集プロダクションからの請負で、XXXの編集などをやっていました。また、人材派遣会社に登録し、単発派遣で、企業受付、試験監督、株主総会受付なども月数回やっていました。(あわせて月10万円程度の収入。)
2012年に妊娠するのと前後して、派遣・編集プロダクションの仕事をやめました。X月から何となくブログを書くようになり、夫の失業が視野に入った2013年から広告を載せています。(複数のブログ・サイトを持っています。)
2013年の収入は全サイト合計で約70万円、2014年の収入は現時点で約300万円です。
というわけで、この短期間に正社員もパートも派遣も自営も経験しました。
私、半端に高学歴なところも、出版業界に半端にかかわっているところも、著者と似ていて、なんだか妙な気分です。イヤだなあ。
(4)なぜ専業主婦と名乗ったか
じゃあなぜブログプロフィールで専業主婦と名乗ったかというと以下のようなことだったと思います。(すごく言い訳がましいな。)
(i)ブログ開始時は、ほぼ専業主婦だったから。(自宅に終日おり、扶養範囲内の稼ぎでした。)
(ii)アフィリエイトもいつ辞めるか分からないから。
(iii)「専業主婦」と言うと派遣先の女の子たちにうらやましがられ、何となく嬉しかったから。
(iv)「SOHO主婦」はあまりに少数派で、ブログ読者の共感が得られそうにないから。
(iii)のあたりは、専業主婦回帰と関係あるかもしれません。
受付嬢に混ざって仕事をしてみて、非正規雇用の女性の「結婚したい願望」の強さには驚かされました。(XXXの受付に行ってたんです。いろいろ面白かった!)
(5)夫の収入に依存してよいのかという疑問
結婚した当初から「専業主婦になって大丈夫なのか」「夫にもしものことがあったら/離婚したらどうするのか」というのは、私にとってすごく重大なテーマでした。
でも、ブログで稼ぐ以前から、「まあ離婚はしないだろう」「夫が失業しても、自分が外で働けば家族3人暮らせるだろう」とわりと楽観的でした。
Tさんの危機感とは温度差があるのですが、ルームシェアで非正規雇用の女性を多数見て、自分でも非正規雇用をがっつり経験したのが理由かもしれません。
△△の仕事ならいつでも戻れるはずですし、派遣会社に登録すると、私のような経歴でもたくさんフルタイムのオファーが来ました。
正社員登用前提のものもありましたし、手堅く探していけば、家族で路頭に迷うみたいなことはなさそうだと思っていました。(出産前の話で、40才を超えるまではという限定つきですが。)
それでも、外で働くともれなくついてくる女性同士の人付き合い(ランチのとき延々と興味のない話を聞くとか)が面倒で仕方ないし、周囲に気配りして暮らすのが苦痛なので、できれば家から出ずに稼ぎたいと思い、ブログアフィリエイトを本気でやりました。
今年の3月頃から会社員並みに稼げるようになり、ほっとしています。
でも、ブログの記事書きをしていた間、息子を放置していた時間ってけっこう長くて、あれでよかったのかなあ、発達に何か影響がないだろうかとちょっと不安に思うときもあります。
(6)ハウスワイフ2.0は腹立たしい
そんな私から見ると、「ハウスワイフ2.0」って腹立たしいですね。
著者は子育てと仕事の両立に悩んだことのないくせに、何を言っているんだって思います。(子どものいない人にそんな言い方は失礼だなとは思いつつも……。子どものいない頃の自分は傲慢だったし、浅はかだったと思う。)
そして「ハウスワイフ2.0の四条件:経済的自立を大切にする」とか書いていますが、そこがまさに問題の本質で、「専業主婦しつつ経済的自立」なんて絵空事だし、家族を養えるほど稼げているなら、その人はたぶん専業主婦とは呼べないぐらい作業していると思うんです。結局、「ハウスワイフ2.0」には、手作り家事を大切にする専業主婦が、どうやって経済的に自立するのか、その処方箋は書かれていません。
(著者によれば、アフィリエイトも、手芸品販売も、さほど儲からないという結論になっています。じゃあどうするのだ、という。)
だから、「ハウスワイフ2.0」という本は、「経済的に自立せよ」と掲げているだけで、いざ子どもが生まれ、手間のかかる手作り系家事と育児とをこなしている主婦が、現実に経済的自立できるのか?そんなヒマはあるのか?ということにはまったく答えていないのです。
これは、旧来のフェミニズムが「女性も男性と同じように仕事ができるんだ。だから女性も子どもを産んだ後も働き続けるんだ。」と突き進んできたのと同じところでつまづく結果になると思います。
実際、子どもがいて、家事をやって、それ以外に何かまともな仕事をしようと思ったら、普通はパンクしますよね。Tさんのように外で働いていても、私のように在宅で働いていても同じだと思います。
今の私は、べき論じゃなくて、やってみて実際に苦しいものをどうするのか、ということに答えてほしいと思っているので、この本は役に立ちません。
(7)それでも働ける人は働くのがいいと思う
それでもやはり正社員として働ける人は、働き続けるのが正解なのだと私は思います。
一人で仕事をするようになってそう実感します。理由は以下の通りです。
(i)影響力が強い・やりがいがある
Tさんの仕事を見ていて、やはりXXもXXも段違いだと感じます。
私がXXXXについてブログに書いていても、世の中変わらないですもん。
どの分野にも、女性の声が必要だとするならば、誰か高い意識を持つ人が頑張らなければいけないのではないでしょうか。
(でも、私が会社勤めをしていてそう言われたら、「なんで私がその担当になるの?私ばっかり大変じゃん」と思う気もします。)
ネットには既存メディアにない自由度もあって、私は気に入っているのですが、誇れるほどの仕事ではない気もしています。なんだか、内職とか、株のデイトレードに似ています。正業じゃないな、と。
(ii)起業家は成長しない
翻訳、アフィリエイトなど、一人で仕事をするようになって思うことですが、やはり一人でやっていると成長しません。人として間違っていても、直してくれる人がいません。
大企業のトップって、バランスがよく、尊敬できる人ばかりですよね。組織にいると、成長しやすいのだと思います。
そして、企業トップ(あるいは管理職)になれるのは正社員としてキャリアを継続した人だけです。
一人で起業したら、ホリエモンにはなれるかもしれないけど、大企業の社長のような安定感ある経営者にはなれないと思います。
社会で働く以上、影響力のある仕事をしたいと思うだろうし、そのためには会社に残るのが一番ではないかと思います。
私の経験から言えるのは、仕事の収入・ストレス・やりがいはだいたい比例するってことですね。
(私の場合、趣味に打ち込めるなら、人としてどれだけ歪んでもいいやと思って、かなり覚悟して離職しました。覚悟のない若い人が、稼げるからとアフィリエイトに参入してくるのを見るとハラハラします。)
あと、アフィリエイトで成功した人が、塾などを作って弟子を育てるというのはよくあるパターンで、人というのは最後には仲間を作りたがるものなのだなあと不思議に思います。
(iii)会社は稼ぎ続けるのに適している
私のように、一人でブログで稼いでいると、いつ収入が止まるか分かりません。(Google検索でサイトが表示されなくなったら、集客が途絶え、収入もなくなります。)それを防ごうと思ったら、サイト/ページを増やすしかなくて、フルタイム以上の時間を投入するか、人を雇うかすることになります。それってもう、主婦が片手間でやる範囲を超えていますよね。人を雇うと責任も出てくるし。でも、稼ぎ続けようと思ったら、そうするしか仕方ないでんですよね。
会社って、個々人の負担をできるだけ減らしつつ、稼ぎ続けるために最適化された組織だなあ、うまくできているなあと最近よく思います。
会社なら、年休も厚生年金も退職金もありますしね。あそび部分(バッファー)があるからこそ、効率よく稼働し続けられるんですよね。
だから、経済的に自立し続けたいのであれば、会社勤めが一番効率が良いのではないでしょうか。
(8)私がブログを続けている理由
この機会にブログをなぜこんなに続けているのか、考えてみました。
一つ目の理由は、会社勤めをする人のかわりにという使命感(?)だった気がします。
「XXXってこんなに難しいことなのに、もし自分が会社勤めをしていたらこんなことを調べるヒマもないなあ。会社勤めをしているもう一人の自分に役立つようなブログを書こう」と思っていたような記憶があります。適材適所で分業ってことではないでしょうか。
専業主婦をしているTさんのお知り合いも、何かやっているんだと思いますよ。PTAで大活躍しているとか。習い事を極めているとか。
会社がそうであるように、社会にもバッファーがないと動かなくなるので、彼女たちはその機能を果たしているんだと思います。(って、他人事みたいにしか書けないわけですが。)
ブログを続けた二つ目の理由は、夫の言葉でした。夫が「XXXに関して、個人的な体験は、百の一般論より意味がある」と言ったのに共感したからです。(夫はXXXをテーマにした本を読んで、はじめてXXXのことが理解できたらしいです。)
私はXXXを体験して、行政や専門家から「一般にはこういうもの」「こういう制度があります」という説明はたくさんもらったんだけど、その一般論って結局大して役に立たないという話を二人でよくしていました。それと比較すると、個人が書いた一冊の本って本当に役立ったんです。
それで、ブログでは自分の体験を一般化せず、数字入り・固有名詞入りで書くように意識しています。
(でも、ブログを書いていることは夫には言っていないという……。)
まとめ
新卒で入った会社にやりがいのある仕事があり、仕事を続ける環境が整っているTさんのような人は、迷わず仕事をつづけたらいいと私は思います。お子さんが小さいうちは大変だと思いますが。
だって、すごい能力だし、幸運なことだと思うんですよね。
私は協調性が少なすぎたせいか、会社で人と協力して何かを成し遂げても、嬉しさよりは面倒くささの方が上でした。それに、何かを売ってお金を儲けることに、最後まで関心が持てませんでした。
「ハウスワイフ2.0」でも書かれている通り、離職するのは、職に恵まれなかった人たちです。恵まれている人は、企業の中で頑張る担当なのではないでしょうか。
一方で、経済的に自立しなくてもいいやという考え方はあって(私はどちらかと言うとこちらに近く、夫の稼ぎが元に戻ったので、アフィリエイトを続けるべきなのか、ここ一か月ずっと悩んでいます。今後ペースは落としていくと思います)、このあたりは、自分の人生に保険をかけたいかどうかという価値観の問題じゃないでしょうか。
普通は保険をかける生き方が賢いと思います。
でも、うちは夫が不定休なので、私が月金で働いていると、旅行なんて行けないし、おでかけすら滅多に一緒に行けないんですね。そんな人生は味気ないと思いました。そんな低次元な理由で外に勤めに出ていないことは後ろめたいですが、夫がそれで良いと言うのだからまあいいや、と思います。アリとキリギリスで言えば、私はキリギリスです。楽しいですよ!冬が来たら困るかもしれないけど。
結婚してすぐの頃、XXXXさんに、「専業主婦なんてダメよ!ガンガン稼ぎなさい!」と言われました。XXXXさんは離婚経験者ですしね。
独身だったり、夫の収入がなかったり、離婚したり、夫が死んだりしたら、選択の余地もなくフルタイムの仕事をするはずですので、Tさんも私も、悩めるだけ贅沢だって気もします。(大黒柱をやっている子持ち女性はハウスワイフ2.0を読んでどう思うんだろう?知りたいです。)
前のメールでも書いたとおり、やはりフルタイム正社員の女性がトップランナーであるのは、今も昔も変わらないと思います。
しかも、XXにいるということは、XXできるポジションで、Tさんの体験はネタとして面白いし、すごく美味しい立場だと私なんかは思ってしまうわけですが。(まっただ中にいるとそれどころじゃないですよね。でも、日に日にラクになるはずですし・・・。頑張れ!)
なので、「子育てしながら働くって大変だよ!」って言い続けて、Tさんにしかできない、大きな仕事に取り組んだらいいのではないでしょうか。それは、いつか多くの人に役立つこと思いますので。

コメント
くりかのこさんはじめまして(^^)
一年前このサイトを見て自分もブログを始めた主婦です。
でもまとめサイトが多く出る時代になってしまったので個人ブログでアフェリエイトをするのが難しいなぁと考えて、パートをメインにした主婦になろうと
軌道修正していました。
そこにハウスワイフ2.0という言葉をネットで見つけ
それやりたい と調べていたところ
またまたくりかのこさんの所に来てしまったというわけです。
本を読む必要がなくなるほど素晴らしいレビューとそれに対する考察でした。
そもそも著者こどもいないのかー!
統計がないのもふわっとしていますね。
タイトルからしたらカチッとしてそうなのにって思いますね
それからその後の個人起業家でホリエモンと会社勤めのはなしも最近感じたことととても似ていたので共感できました。
ブログでお金を稼げたらいいなぁと思っていた一年前、
三菱のみなとみらい技術館でみんなで働くとこんなすごいものが出来上がるんだ、会社ってすごい
と思った一ヶ月前。
社会で建設的な生産に携わるには会社っていいな
子供にも会社の歯車なんて嫌だ、って思わずに
胸を張ってモノを作る仕事とか、世の中をより良くする仕事をしてほしいなと思いました。
また、自分も
自分はブログに正社員程の時間と精力を注げないなら
会社勤めをして社会の役に立とうと思ったのでした。
自分の頭の整理になってしまいました(^_^;)
プロのブログ運営されていてすごいです!
自由になった時間で
お子さんの成長を見守ってください(^o^)
書評ありがとうございました!
こんにちは。以前からお読みくださっていたとのこと、コメントをいただきどうもありがとうございます。
この記事は、このブログの中で2番目ぐらいに頑張って書いた記事なので、読んでいただけてとても嬉しいのです。
(一番頑張って書いたのは、たぶんアフィリエイトサイトの相続の記事w)
ハウスワイフ2.0はねえ、買わなくてよかったですよ!
今90円ぐらいになってますが、そんな価値(ヾノ・∀・`)ナイナイ
やはりねえ、著者にお子さんがいないというのが決定的ですよね。
子どもがいると人生が大変になりますもん。(家事が大変に、と書いてあえて書きなおしました。人生がねえ、大変になりますよねえ。)
この本については、文芸春秋の編集者の売り方が上手かったってことなのでしょう。日本版の著者プロフィールとか書いたのは編集者だと思うので。やり手ですわ。
>三菱のみなとみらい技術館でみんなで働くとこんなすごいものが出来上がるんだ、会社ってすごい
分かります!
やはり、大きな組織でなければできない仕事ってあると思うんです。
そして、人に誇れる仕事で、お金とは別のやりがいも感じやすいと思います。
アフィリエイトを卑下するつもりはないのですが、やはり、広告業なんて虚業の類です。
人間って、一生にそういくつも「自分の仕事」をできるわけではないのですから、社会人として現役である40年ぐらいの間に、何の仕事をしたいのか、見極めることはとても大切なのだと思います。
そういう意味で、また会社勤めをお考えのまままさんのご選択は、とても尊いことだと思います。
>子供にも会社の歯車なんて嫌だ、って思わずに
>胸を張ってモノを作る仕事とか、世の中をより良くする仕事をしてほしいなと思いました。
まったく同感です!
働くことって楽しいことで、社会に出て仕事をするというのは、誰かの役にたつことなのだ、ということを私も子どもに伝えていきたいです。
コメントをいただき励みになりました。まままさんも頑張ってくださいね!
お忙しい中こんなに沢山お返事して頂いて感激です ありがとうございました!\(^o^)/
こちらこそありがとうございます(`・ω・´)